色の見え方がおかしい
色の見え方の異常を色覚異常 といいます。
色覚異常は遺伝による生まれつきのものである先天性と、生後に何らかの原因で起こる後天性に分けられます。
ここでは眼科外来でよく遭遇する以下の病気について見ていきます。
先天色覚異常
先天色覚異常は生まれつきなので、異常のある本人は認識できません。ではいつ自分に色覚異常があると分かるのでしょうか?
多くの場合、それは色覚検査を初めて受けたときです。以前は小学校の健康診断で色覚検査が行われていましたが、学校保健法の改正に伴い平成15年度からは廃止されました。この色覚検査は一部の職業に就くためには必要な検査です。飛行機のパイロットや船舶の操縦士、電車の運転士、警察官、自衛隊などは色覚異常があるとなれないことがあります。そのため早くから色覚検査をした方がよいのではないかという考え方もあります。
先天色覚異常には1色覚(全色盲)、2色覚(色盲)、異常3色覚(色弱)があります。1色覚には
また、問題となる錐体の種類によって1型色覚(L-錐体の異常)、2型色覚(M-錐体の異常)、3型色覚(S-錐体の異常)に分けられます。このうち1型色覚と2型色覚が非常に多く、先天赤緑色覚異常と呼びます。3型色覚は先天青黄色覚異常と呼ばれていますが、非常にまれです。
・先天赤緑色覚異常
先天色覚異常の大部分がこの先天赤緑色覚異常です。日本人では男性の5%、女性の0.2%にみられます。女性保因者は約10%です。
先天赤緑色覚異常で間違えやすい色の組み合わせは次の通りです。
赤色と緑色、赤色と黒色、ピンク色と白色、ピンク色と灰色、ピンク色と水色、
橙色と黄緑色、茶色と緑色、緑色と灰色、緑色と黒色、青色と紫色
正常色覚で明らかに違うこれらの色が、非常に似て見えます。子供の頃は色を間違えやすいのですが、成長に伴い経験、学習し間違えは減っていきます。日常生活には支障のない程度になる場合が多いようです。
1.原因
原因は遺伝で、遺伝形式はX
2.治療
現在効果のある治療法はありません。
後天色覚異常
生後に何らかの原因で起こる色覚異常を後天色覚異常といいます。先天色覚異常と違い片眼だけに起きたり、左右差があったりします。
後天色覚異常の原因となる疾患はたくさんあります。多くの場合、原因疾患の病状に合わせて色覚異常は変化します。ただし、原因疾患の治癒後も色覚異常が残存することもあるので注意が必要です。
網膜や視神経の病気ではまず青黄色覚異常が起こることが多く、進行すると赤緑色覚異常が加わり、最後には1色覚になってしまいます。
加齢でも色の見え方はやや変化します。特に白内障が進行すると後天性青黄色覚異常となります。その他には、女児に見られることの多い心因性のものがあります。
後天性青黄色覚異常では、黄色が白色に、緑色が青色や黒色に、茶色が黒色や紫色に、青色が黒色に、紫色が黒色や青色に、茶色に見えるようになります。
後天色覚異常を引き起こす病気には次のようなものがあります。
1.網膜、脈絡膜 疾患
2.視神経 疾患
球後視神経炎やLaber遺伝性視神経症などが原因になります。青黄色覚異常だけでなくさまざまなパターンの異常が起こります。
3.大脳病変によるもの
色覚中枢がある後頭葉のV4またはV8の障害により色覚異常が起こります。